相続した不動産を売却する際、「譲渡所得税」という税金が発生します。この税負担を軽減する方法のひとつに「取得費加算の特例」があります。
この制度を適用することで、相続税の一部を取得費に加算できるため、課税対象となる譲渡所得を抑えることが可能です。
この特例を利用すると、支払った相続税の一部を取得費として計上できるため、最終的に支払う税額を軽減できます。
【通常の譲渡所得税の計算式】
譲渡所得 = 譲渡価格(売却価格) - 取得費 - 譲渡費用
相続した不動産の場合、取得費が不明なケースもあり、その場合は売却価格の5%を概算取得費として計上できます。ただし、5%では税負担が重くなる可能性があるため、「取得費加算の特例」の活用が重要になります。
相続または遺贈によって不動産を取得している
相続税を納付している
相続開始から3年10ヶ月以内に売却する
【例】3年10ヶ月を超えた場合
この期間を過ぎて売却すると、特例の適用が受けられなくなります。計画的な売却が重要です。
加算できる取得費の計算式は以下の通りです。
取得費加算額 =(売却した不動産に対応する相続税額)×(売却した不動産の相続税評価額 ÷ 相続財産全体の評価額)
例えば、相続税500万円、相続財産5,000万円、売却する不動産の評価額2,000万円の場合、取得費加算額は 200万円 となります。
確定申告が必要(売却の翌年に申告)
適用期限(3年10ヶ月以内)を過ぎると利用できない
他の税制優遇(3,000万円特別控除など)との関係に注意
相続税を支払った人
売却益が大きい人
売却を急ぐ必要がある人
取得費加算の特例を利用すれば、相続した不動産の売却時の税負担を抑えられます。相続開始から3年10ヶ月以内という期限があるため、早めの売却計画が重要です。
適用条件や具体的な金額については専門家への相談をおすすめします。